難病と障害年金の請求
難病とは、その原因が不明で、治療方法が確立されていない疾患を言います。
難病を傷病名として障害年金を請求するときは、以下のことに注意が必要です。
1.初診日は難病の傷病名そのものが付いたときと認定される可能性が高い。
すなわち、実際は難病の症状で受診した初期の受診時期が、初診日とは認められない
可能性が高いと言えます。
2.肢体の障害では、他の傷病と同様関節可動域や筋力が参考とされます。
その難病が関節可動域や筋力の制限とは無関係でもそうなります。
3.日常生活の制限を詳述する必要があります。
難病と障害年金について講演しました!
長崎難病相談・支援センター主催で平成29年10月14日に行われました。
多数のご参加有難うございました。
当事務所の過去の申請実績でも数々の難病に関するものがあります。
主な例は以下の通りです。
ベーチェット病
モヤモヤ病
悪性関節リウマチ
黄色靭帯骨化症
後縦靭帯骨化症
重症筋無力症
脊髄小脳変性症
脊髄性筋委縮症
全身性エリトマトーデス
特発性拡張型心筋症
特発生大腿骨頭壊死症
天疱瘡
網膜色素変性症
進行性核上性麻痺
強直性脊椎炎
広範囲脊柱管狭窄症
難病について障害年金を請求するときの注意点。
進行性核上性麻痺
【 過去の進行性核上性麻痺の申請についての一例 】
肢体の障害で申請して不支給となる。年金機構は関節可動域と筋力にこだわり、これを不支給とした。この病気は上下肢の関節可動域や筋力の問題で、身体の動きが不自由になるのではなく、姿勢の不安定性および注意力や危険に対する認知力の低下等に由来することを主張し不服申し立てを行い1級と認められた。
このようなことが起こる理由は、年金機構が傷病名を問わず、肢体の機能の障害の認定では、関節可動域や筋力を必ず勘案するという姿勢にあります。
難病は今までの傷病では考えられない症状を示すものが多く、認定基準の形式的解釈では済まないことが多いということを知っておく必要があります。
全身性エリトマトーデス
全身性エリトマトーデスは、その症状が関節リウマチと併発するケースがあります。
その時現在の症状が、全身性エリトマトーデスが原因なのか関節リウマチが原因なのかを証明する必要があります。特に初診日が異なり納付要件を片方が満たさない場合は、慎重に見極める必要があります。
線維筋痛症
難病ではありませんが、線維筋痛症のように従来の常識ではなかなか認定できない傷病もあります。
難病が障害年金の請求でなかなか通らないというのは、申請件数が少ないからではなく、年金機構の認定基準の解釈に問題があることが多く、これを不服申立では理論的に証明しなければなりません。
強直性脊椎炎
強直性脊椎炎は、体幹・脊柱の障害または肢体の障害等で申請します。関節のこわばりや疼痛を特徴としていますので、関節可動域や筋力の評価が正常に近い場合でも2級に該当する場合があります。